ベアテ・シロタ・ゴードンさんが、日本の敗戦後新しい憲法草案作成のとき、 「男女平等」の文言を加えた事実は、すでに多くの日本女性たちの知るところですが、ベアテさんが 日本の憲法に書き加えた女性の人権と男女平等の条文が、戦後の日本女性の地位向上と権利にとって、どれだけ強い後ろ盾となったか。或いはベアテさんが提案しながら削除された条文のどれだけが、その後法整備されたか。

この映画は、ベアテさんが書いた男女平等の条文を起点にして、戦後、日本の女性たちが今日までどのような、地道な歩みと活発な運動を展開してきたかを検証する、 いわば映像による戦後女性史のひとつです。
そしてベアテさんが不思議な運命の糸に導かれ、世界的ピアニストであり、多くの日本のピアニストを育てた父レオ・シロタと母の深い日本への愛情、更に日本女性の幸せを願うベアテ自身の情熱に支えられてこの条文が書き加えられたことを、 20世紀の世界史的視野で捉えた作品です。

【藤原智子監督・略歴】
1932年東京生まれ。東京大学で美学史を専攻。表現の可能性に惹かれて記録映画の世界へ。1960年「オランウータンの知恵」でデビュー。その後、子育てで現場を離れ「鳥獣戯画」を代表に美術映画など多数の脚本を執筆。47歳で監督業に復帰後は、能、歌舞伎等の短編記録映画を多数監督し文部大臣賞、芸術作品賞等を受賞。初の長編ドキュメンタリーは「杉の子たちの50年 学童疎開から明日へのメッセージ」。続いて「ルイズ その旅立ち」「伝説の舞姫 崔承喜 金 梅子が追う民族の心」更に「夢は時をこえて、津田梅子の紡いだ絆」で津田塾大学の創始者津田梅子の足跡をたどり、再びキネマ旬報文化映画部門第一位、第55回毎日映画コンクール記録映画文化映画賞、日本映画ペンクラブノンシアトリカル部門第一位等を受賞。この「ベアテの贈りもの」に続き2007年「シロタ家の20世紀」は第7回キエフ国際ドキュメンタリー映画祭審査員大賞、最近は「100年の谺 大逆事件は生きている」企画・脚本を書いた。

【フィルモグラフィー】
「杉の子たちの50年 学童疎開から明日へのメッセージ」1995年
「ルイズその旅立ち」1997年
「伝説の舞姫 崔承喜 金梅子が追う民族の心」1999年
「夢は時を越えてー津田梅子が紡いだ絆」2000年
「ベアテの贈りもの」2004年
「シロタ家の20世紀」2007年 公式サイト http://sirota-family.net/