製作委員会・岩田喜美枝によるモロッコ上映レポート

5月1日にモロッコの首都ラバトで映画の上映会がありましたので、赤松さんと一緒に行ってきました。廣瀬大使がすべてオーガナイズしてくださったのです。日本大使館とモロッコ政府の社会開発・家族・統合省の共催で、市内の文化センターで開催されました。写真は会場の入り口に貼られていたポスターです。
夕方17時半から上映し、その後、パネルディスカッションをしました。参加者は50人程度であまり多くはなかったことが残念ですが、スカリ大臣が出席していただき、嬉しく思いました。スカリ大臣はNGO出身の方で(モロッコで最初の女性関連NGOを立ち上げた人)、40代と思われ、若く、気さくで、魅力的な人でした。時間に沿って、以下、ご報告します。

テレビ取材開始前にテレビの取材があり、大臣、大使、赤松さんが1人ずつ取材を受けました。開会挨拶大臣と大使が挨拶をされました。廣瀬大使はフランス語で挨拶をしましたよ。映画上映事前に大臣の日程の都合で、映画を15分カットして欲しいという話でしたので、藤原監督と相談してカットする部分を決めてありました。短縮版で上映を始めましたが、まもなく、映像が動かなくなり、そこで、短縮していない元の版でやり直しをし、その結果、時間の関係で最後までは上映できない、という大変残念なことになりました。
パネルディスカッション大臣、大使、赤松さんと私の4人が壇上に上り、冒頭赤松さんから、映画制作の意図や海外での上映の状況の話をし、上映会の開催に対してお礼を言いました。

その後、会場と意見交換をしました。なかなか活発に発言するのには感心しました。出された質問は以下のとおりです。

・教育のおける男女平等はすすんでいるか。
・労組の組織率はどうか。女性の組合への参加、女性の組合リーダーはどの程度いるか。
・夫婦の結婚・離婚についての法律上の権利など家庭での平等は進んでいるか。宗教が男女平等にどのような影響を与えているか。
・社会変革の運動はあるか。社会通念がどのように障害になっているか。
・女性の歴史を示す会館をモロッコにも作って欲しい。
・岩田はどのようにして企業の副社長にまでなったのか。

以上のような質問が出来ました。これはモロッコの現状をよく物語っています。赤松さんと私は国連女性差別撤廃委員会で本年審議されたモロッコの政府レポートを事前に読んで勉強をして出かけたのですが、例えば、成人女性の識字率は低く62%であること、最近の家族法の改正で女性側からも離婚が申し立てられるようになったこと、一夫多妻制が改正され裁判所の許可を得た場合にのみ4人ではなく2人まで妻を持てることなど、法制的にも実態的にも男女平等はまだまだの国です。立食懇談会最後に、簡単な飲み物とおつまみで立食懇談会があり、ここで、参加者とお話をする機会もありました。

以上、大臣が参加してくださったことにより、時間的な制約があり、上映自体が中途半端になったことが悔やまれますが、これを挽回するために、秋には、モハメディア市(ラバトから車で1時間もかかりません。)のハッサン2世大学(学長が女性)で上映会をするよう廣瀬大使が学長と相談し決めてくださっています。このときには、栗崎さんや黒岩さんが来てくださることが期待されています。
以上、ご報告です。

文責:岩田喜美枝